ビオトープとは
ちょっと前まではなかなか会話にも出てこなかった「ビオトープ」という言葉。今では誰もが違和感なく受け入れてくれていますね。
最初は環境保全や野生生物保護に取り組んでいる専門家の人たちが使っていた言葉のようですが、最近では、一般に広く言われるようになり、いろいろな意味で使われるようになりました。ビオトープについて多くの人が知るようになったのは良いことですが、今では意味がたいへん多様化しているようです。
よくビオトープって?と言う質問に対して、-生命:バイオbioと場所:トポスtoposの合成語で、生物の生息空間のこと-という答えを耳にしますね。では、もっと具体的にビオトープってなんだろうと考えてみましょう。
たとえば、シオカラトンボが卵を産み、ヤゴが育つ小さな池は、シオカラトンボのビオトープといいますね。でも、トンボは小さな池だけで一生を過ごすわけではないので、成長段階や季節ごとに様々なタイプのビオトープが必要になってきます。すると、ヤゴの小さなときの小さな池もトンボになってからの生息域も全てビオトープということになってきます。
そこで、もう少し大きく考えていくと、トンボが飛んでいく森林や湖沼、草地 河川 湿地 岩場 砂地なども、その地域に住むさまざまな生き物が地域固有の自然生態系を構築していればすべてビオトープといえるわけです。
このように小さなビオトープから大きなビオトープまで、また、比較的自然度の低いビオトープから、自然度の高い多様なビオトープまで多くの解釈がなされるようになってきました。
我が国でも多くの自然が破壊された今、残された貴重な生物生息空間としてのビオトープを保全したり、消失したところを復元、創出することがますます重要な社会活動になってきています。
「日本ビオトープ協会」は1993年来、このような社会からの要求にこたえるべく活発に活動を展開しているところです。
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〇協会発行冊子「ビオトープの維持管理改訂版」についてはこちら
〇協会発行本「事例で学ぶ ビオトープづくりの心と技」についてはこちら
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関連用語集
エコアップ
環境のエコロジカルな改善方法。
エコサイクル圏
ビオトープにリサイクル(自然循環)の仕組みを取り組んだもの。
エコトープ
地理的単位としてビオトープの総合されたもの。
エコトーン
二つの異なった生態系の接点域、移行帯。
共生
本来的には、異種の生物が相互に作用しあう状態で生活する事だが、一般には人間と他の生物の共存を言う。
近自然工法
当初は人為によるが、その後自然の遷移の力を利用し、本来的な生物の良妬な生育環境と自然景観を保全または創出する工法。(多自然型工法とも言う)
生態系(エコシステム)
ある地域内の生物群と、これに加えて、それを支配している気象、土壌、地形など環境をも含め、総称したもの。
潜在的植生
現在は失われているが、かつてその地に自然の状態で存在した植生。
ニッチェ
生物がその地域の生物集因や生態系の中で占める地位。生態的地位と訳す。
バイオダイバーシティ
生物の多様性。
ハビタット
生物の個体戎いは個体群の生急場所。単に位置的場所としてではなく、生活環境として把握される。
ミティゲーション
開発によって損なわれる環境を、その場所または他の場所に復元または創造すること。
モニタリング
事業に伴う影響および保全目標の達成度合を、継続的かつ定期的に調査を行ない評価し、事業に反映させること。